【2026現地ルポ】「札幌のベッドタウン」脱却へ 野幌駅周辺で加速する再開発と地価高騰のリアル
野幌 駅の改札を抜けると、かつてのレンガの街の面影を残しつつも、明らかに数年前とは違う熱気が漂っている。JR函館本線で札幌駅から区間快速でわずか20分弱。北海道江別市の中心部に位置するこのエリアが今、道内でも有数の「住みたい街」として不動産市場や都市開発関係者から熱い視線を浴びている。
かつては静かな住宅地という印象が強かったが、エスコンフィールド北海道のある北広島市へのアクセス性や札幌市内のマンション価格高騰の煽りを受け、野幌 駅周辺の景観は劇的な変化を遂げた。新築タワーマンションの建設ラッシュ、街頭を歩く子育て世代の急増、そして高架下事業の再始動。一体、この街で何が起きているのか。2026年現在の現地を取材した。
札幌新築マンション暴騰の影響——なぜ今「江別・野幌」なのか

札幌市内の不動産市場はここ数年、留まることを知らない価格上昇が続いている。中央区や北区の駅近新築マンションは、平均価格が7000万円から8000万円を超え、一般的なパワーカップルでさえ手が届きにくい水準へと達した。
そこで浮上したのが江別市、特に野幌エリアだ。JR札幌駅から直通18分という絶妙な距離感でありながら、居住コストは札幌市内の6割から7割程度に抑えられる。通勤の利便性を妥協せずに広い住まいを確保したい30代ファミリーにとって、野幌は極めて現実的で魅力的な選択肢となったのだ。
「半年前まで札幌市内の地下鉄沿線で探していましたが、狭い2LDKでも予算オーバーでした。野幌なら駅徒歩5分で広い3LDKが買える。実際に住んでみると、買い物の便も札幌と変わらない」と、最近野幌へ引っ越してきた30代のIT企業勤務男性は明かす。
高架化から15年、ついに結実した「野幌駅周辺まちづくり」の現在地

野幌駅の連続立体交差事業(高架化)が完了したのは2011年のことだ。踏切による交通渋滞が解消され、南北の市街地が分断されていた歴史に終止符が打たれた。しかし、高架化直後は駅前の空き地が目立ち、「箱モノはできたが賑わいが伴っていない」という批判の声も少なくなかった。
それが今、大きく転換している。駅前に整備された広場や商業施設には、人々の日常的な憩いの場が生まれ、高架下を利用した店舗開発も結実を迎えている。レンガ造りのデザインを基調とした駅舎と、モダンな商業建築が見事に調和し、野幌ならではの景観美を作り出している。
「江別蔦屋書店」だけじゃない? 若いファミリー層を引き寄せるカルチャーと暮らしやすさ

野幌の魅力を語る上で外せないのが、近隣の「江別蔦屋書店」に代表されるカルチャーの拠点だ。食、知識、暮らしをテーマにした大型複合施設は、単なる本屋を超えて市民のサードプレイスとして定着している。
加えて、野幌エリアには質の高い公園や公共施設が点在する。道立野幌森林公園という広大な自然環境がすぐ間近にありながら、日常の買い物にはイオン江別店や地元の老舗スーパーが揃う。都市の利便性と豊かな自然が同居するバランスの良さが、子育て世代の心を掴んで離さない。
北広島・Fビレッジ経済圏との化学反応で変わる交通アクセスと人の流れ
もう一つの追い風は、隣接する北広島市のエスコンフィールド北海道(Fビレッジ)を中心とする経済圏の拡大だ。野幌は北広島方面へのアクセスも良く、車やバス、JRを乗り継いだ回遊性が高い。
週末になると、野幌駅周辺のホテルや飲食店には観戦客や観光客の姿も目立つようになった。かつては札幌の単なるベッドタウンに過ぎなかった野幌が、道央圏の交通・観光のハブとしての役割も担い始めている。
地価上昇率で道内上位へ 地元住民が語る戸惑いと期待
住宅需要の急増に伴い、地価公示における野幌駅周辺の住宅地・商業地の変動率は北海道内でもトップクラスの伸びを見せている。数年前まで坪単価10万円台後半だったエリアが、今や倍近くまで跳ね上がるケースも珍しくない。
この急激な変化に対し、長年この街に住む古くからの住民からは戸惑いの声も聴かれる。「静かな城下町のような風情が好きだったが、急に新しいマンションが建ち並び、車の交通量も増えた」と語る70代男性がいる一方、「若い人が増えて街に活気が出た。学校の児童数も戻りつつあり、将来が楽しみだ」と歓迎する声も多い。
2026年以降の展望:野幌は単なる「寝に帰る街」を超えられるか
2026年現在、野幌駅周辺の開発はひとつの到達点を迎えたかに見える。しかし本当の勝負はここからだ。単に札幌への通勤者が夜に戻ってくるだけの「寝に帰る街」で終わるのか、それとも自立した経済と独自の文化を持つ都市へと進化できるのか。
江別市は現在、野幌駅前での起業支援やリノベーションまちづくりを積極的に進めている。古い倉庫やレンガ建築を活かしたカフェやITスタートアップのオフィスが誕生し始めており、新たな雇用の場としての芽も出つつある。激動の時代を迎えた野幌駅エリア。その変貌のドラマから、当分目が離せそうにない。 (出典: 野幌 駅(Yahoo!ニュース))